「メキシコにおけるCSR会計の義務化」
  
Topic : Accounting
Country : Mexico

「メキシコにおけるCSR会計の義務化!」

・従来は、CSR(企業の社会的責任)は環境配慮や社会貢献を自主的に紹介する任意開示であり、企業イメージやIR(Investor Relations)の補足資料という色合いが強かった。
しかしながら、2025年、2026年から、メキシコでは、CSRはもはや「任意の広報資料」「会社のイメージプロモーション」のようなものではなくなりました。
IFRS(国際会計基準) S1/S2およびメキシコ基準NISの導入により、サステナビリティ情報は財務諸表と同列に扱われる会計・監査対象へと明確に位置づけられました。
つまり、CSRは「評価されるもの」から「遵守されるべき義務」へ移行しました。

転機となったのは、2021〜2023年にかけてのISSB設立とIFRS S1/S2の公表です。サステナビリティ情報が財務情報と同列に扱われ、
「投資家の意思決定に資する情報」として標準化されました。これを受け、メキシコでも制度整備が本格化しました。
その結果、2025年度実績分からの完全義務化、2026年提出というマイルストーンが設定されました。

・さてメキシコの会計制度は、上場企業と非上場企業とで二階建て構造で成り立ってます。それぞれを見ていきましょう。

①上場企業:CNBV(メキシコ国家銀行証券委員会)の規制の下、IFRS S1/S2に基づくサステナビリティ開示と外部監査人保証が必須

②非上場企業:NIF(メキシコ財務報告基準)に基づき財務諸表を作成する場合、NIS(サステナビリティ情報規格)に従い、
環境・社会・ガバナンスに関する主要指標を「財務諸表の注記」として開示NISによりESG指標を財務諸表注記として開示する必要

これは、CSRが以前は任意開示の「別冊のレポート」でしたが、今では「決算書の一部」へと格上げされました。

この結果として、CSRレポートで語られてきた環境対応や社会貢献は、数値の定義、算定範囲、証跡、内部統制を伴う「会計情報」としての再構築しなければならなくなりました。

日本ではSSBJ基準がISSB(IFRS S1/S2)と整合する形で整備され、主に上場企業を対象として、有価証券報告書を中心に投資家向けのサステナビリティ開示が進められていますが、
しかしながら、メキシコでは非上場企業にまで会計基準として網をかけ、注記開示を義務づける点で、より実務寄りかつ踏み込んだ制度設計となっています。

・日系企業にとっての実務的なポイント

日本本社で整備したSSBJ対応データは、そのままでは使えず、メキシコではNISや監査対応を前提に再設計が必要になり
CSR部門主導の開示から、経理・内部監査・経営層を巻き込んだ体制への転換が不可避になりました。
ESGデータは決算スケジュールと一体で管理する必要があります。

メキシコ対応の成否を分けるのは、CSRをどれだけ早く会計に導入し、財務報告プロセスへ組み込めるかです。
メキシコ特有のNIS・注記・監査という現実を正しく理解することが、これからのサステナビリティ対応の鍵となります。

Creater : 章央 山本