中国の税務当局は2025年12月、企業のキャッシュフロー改善を目的とした主要施策である「増値税期末留保税額還付(留抵退税)」制度について、相次いで重要な公告を公表しました,。本制度は、仕入れに係る増値税額が売上げに係る増値税額を上回り、控除しきれずに残った税額(留保税額)を、一定の条件下で還付するものです。
1. 制度の「完全化」と実務指針の策定
今回の法整備の核となるのは、財政部および国家税務総局が連名で発布した「増値税の期末における控除未済にかかる税還付政策の完全化に関する公告」(2025年第7号)です,。本公告により、制度の適用範囲や還付基準がより包括的かつ安定的となりました。
これを受け、実務上の具体的な手続きを定めた「増値税の期末における控除未済にかかる税還付の取扱いに関係する徴収管理事項に関する国家税務総局の公告」(2025年第20号)が施行されました,。これにより、申請時に必要な提出書類や税務当局による審査プロセスが明確化され、企業の事務負担と予見可能性のバランスが図られています。
2. ビジネスへの影響と注目すべき動向
• 資金効率の向上:製造業など多額の設備投資を先行させる企業にとって、留保税額の早期還付は、運転資金の確保に直結する大きなメリットとなります。
• 特定業種への適用拡大:関連する公告(2025年第20号など)では、宅配サービス等の特定のサービス業種における増値税政策についても言及されており、還付対象の細分化が進んでいます。
• コンプライアンスの厳格化:還付手続きの円滑化が進む一方で、滞納税に関する公告弁法の整備なども並行して進んでおり、適切な納税管理を行っていることが還付を受ける前提条件となります。
3. 企業が取るべき対応
日系企業の中国拠点においては、以下の対応が推奨されます。
• 最新公告の精査:2025年第7号および第20号公告に基づき、自社が還付対象となる条件(増値税の一般納税者区分や信用格付け等)を改めて確認すること。
• 会計処理の適正化:税務当局による審査が効率化される一方で、申請データの正確性はより厳格に問われます。国家統一会計制度の徹底実施(2025年12月19日発表の意見書)に沿った、透明性の高い財務管理が求められます。
まとめ
今回の税制改正は、中国政府が掲げる「内需拡大」や「経済の質の高い発展」を支えるための、実効性のある資金支援策の一環と評価できます,。企業側は、こうした政策的な恩恵を確実に享受できるよう、最新の徴収管理実務を早期に把握し、社内の管理体制を整えることが肝要です。