海外事業において、就労許可証を取得し、駐在員を赴任させることは現地の管理機能を確立させ、土台となる初めの市場を獲得するために必要不可欠です。それと同時に、就労許可証の取得は難航するケースが多く、企業を悩ませる要因の一つです。
昨今のコロナによる経営環境の変化に伴い、アセアン地域の組織再編を行い、シンガポールからマレーシアに統轄拠点を移すことを検討されている企業も少なくありません。その際、問題となるのが赴任者の就労許可証が取得できるのか否かです。
就労許可証の取得は困難とされている、もしくは時間を要するとされていますが、実情はどうなのでしょうか。下記にて、就労許可証の定義について触れ、就労ビザ取得のプロセスについて記載します。
【1.マレーシアにおける就労許可証の定義について】
雇用制限法(Employment Restriction Act 1968)において、マレーシアの市民権を有さない者はマレーシア政府より発行される就労許可証(EP:Employment Pass)が必要であると規定されています。
なお、海外での就労においては、一般的に「就労ビザが必要である。」と認識されています。ただし、厳密には、就労ビザ・就労許可証の機能については下記の通り定義されています。
- 就労ビザ(Entry Visa):当該国での就労・滞在の許可を前提として、入国が許可されている旨の査証
- 就労許可証(Employment Pass):当該国での就労・滞在を許可する旨の許可証
つまり、海外で就労するためには就労許可証が必要であり、就労ビザは当該国への入国の際に必要となる査証を意味します。そのため、駐在員が当該国で就労するためには、就労ビザの取得だけでなく、就労許可証の取得が必要になるため、全体のスケジュールと取得プロセスを確認するうえで、上記の言葉の定義について正確に認識する必要があります。
※例外となる制度を有する国もあるため、他国の制度については別途ご確認ください。
【2.マレーシアにおける就労許可証の取得プロセスについて】
マレーシアの就労許可証の取得は下記5つのステップから成ります。
1.各種事業ライセンス申請-取得
-所要期間:各種事業次第
-備考:
事業運営の適格性、企業コンプライアンスの遵守を示すために企業活動に必要なライセンスの取得を完了させる必要があります。
2.ESDアカウント稼働申請-承認
-所要期間:2-6ヶ月
-備考:
就労ビザを申請する前に、ESD(Expatriate Services Division)という外国人就労者の管理を行う政府省庁より、企業がコンプライアンス・事業運営における適格性を有しているかを審査されます。問題ないと判断された場合には、ESDアカウント稼働が許可され、以降は当該アカウントを用いて、オンライン上で就労ビザの取得申請を行います。
3.就労許可証取得申請-承認レター発行
-所要期間:1-3ヶ月
-備考:
ESDアカウント上で就労許可証の取得に係る申請を行い、問題ない場合にはESDから就労ビザ取得に係る承認レターが発行されます。
4.就労ビザ申請-取得
-所要期間:1週間
-備考:
ESDから発行された承認レターをもとにマレーシア大使館にて就労ビザを申請-取得します。なお、申請を行うマレーシア大使館は国籍によって制限されていないため、就労許可証取得申請時に申請を行う国を指定することが可能です。
5.就労許可証発行申請-発行
-所要期間:1週間
-備考:
就労ビザにてマレーシアへ入国後、ESD当局にて就労許可証の発行を申請し、パスポートへ就労許可証が貼付されます。
※上記所用期間は、各企業、赴任予定者が申請要件を満たしているか否か、によって大きく変動します。
【3.まとめ】
会社設立初期、事業の実現性は駐在員が赴任できるか否かによる企業が多いと考えられます。初参入となる場合には、各種法制度や企業運営に係る業務について調査する必要があり、就労許可証取得プロセスの確認もその調査の一つです。本記事では就労許可証の取得プロセスについてまとめましたが、就労ビザ申請時に要件や注意事項については別途記事にて記載します。
この記事に対するご質問・その他マレーシアに関する情報へのご質問等がございましたらお気軽にお問い合わせください。
最後までお読みいただきありがとうございました。