マレーシアにおける個人所得税の課税対象期間は1月1日から12月31日であり、当該課税年度の翌年の4月30日(e-Filingでの申告の場合は5月15日)までに申告および納付を行う必要があります。雇用主は、従業員に対して給与支払明細書を作成し、交付します。
しかし、今回新型コロナウイルスの影響によるロックダウンより、上記申告、及び納付の期限が延長されました。
マレーシアでの個人所得税の申告には、以下の2種類があります。
- ①所定の用紙に直接記入し、窓口で申告
当該課税年度の翌年の4月30日まで⇒2020年6月30日までに変更
- ②e-Filingというインターネット上でのシステムを利用した申告(電子申告)
当該課税年度の翌年の5月15日まで⇒2020年6月30日までに変更
マレーシアでは、毎月税額の納付を行い、その後年次の確定申告で過不足分の調整を行う、という流れになっています。
そのため、雇用主は源泉徴収という形で毎月15日までに徴収した源泉税をマレーシア内国歳入庁(IRB)に支払います。
マレーシアの所得税は、次の手順により計算します。

[総所得金額]… ①
まず、その年におけるすべての収入から、課税される収入と非課税収入を区分する必要があります。
課税される収入については、所得税法第4条において以下のとおり列挙されています。
- 通商、事業から稼得された利得および利益
- 雇用から生じた利益および利得
- 配当金、利息および割引料
- 恩給、年金、その他の定期収入
- 収入の性質を有する上記以外の利得および利益
[所得控除額(Tax Relief)]… ②
①の総所得金額から各種所得控除額を控除し、課税所得金額を算出します。
所得控除が受けられるのは、マレーシア居住者に限ります。
[現物給付]… ③
マレーシアで雇用主から行われる現物給付に関しては、そのすべてが課税対象になります。
課税される評価額は、マレーシア内国歳入庁で定められた以下の計算式で算定した金額になります。

[税額控除(Tax Rebates)]… ④
個人の年間の収入金額が3万5,000リンギットを超えない場合には、すでに支払った税額のうち400リンギットが払戻されます。
たとえば、夫婦で両名とも3万5,000リンギットを超えない場合は、合計で800リンギットの払戻を受けられることになります。
また、ザカートやフィトラのようなイスラム教の教えに則り、義務として寄付金を支払った場合には、寄付金の実額が払戻されます。
[所得税額の算出]… ⑤
上記で算出した課税所得金額に対して、下記のような累進税率(2019年度)を乗じて所得税額を算出します。

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