2025年8月25日、カンボジア経済財務省(Ministry of Economy and Finance)は、従来の Prakas 116(2008年制定) を廃止し、新たに Prakas 671 が発表されました。本規則は、保税倉庫(customs bonded warehouse)の許認可および運営に関する手続きを刷新するものです。
政府としては、保税倉庫運営をより厳密に管理し、不正リスクを抑制しつつ物流効率を良くしたいという意図もあるものと推察されます。
⚫️基本的な枠組み(継承点)
Prakas 671 は、Prakas 116 における以下の基本原則を引き継いでいます:
- 倉庫区分の維持
保税倉庫は引き続き 3 種類に分類されます:
- Type A(公共型:Public)
- Type B(私有型:Private)
- Type C(特別型:Special)
- 関税・税金の一時停止
保税倉庫内に保管されている品目には、関税や税金の支払いが保留される制度が維持されます。
- 運営事業者の責務
運営者は、倉庫のセキュリティ強化、税関官員のための十分なスペース確保、在庫記録とトレーサビリティ(追跡可能性)の維持などを義務付けられています。
⚫️主な改正点
下表は、Prakas 116 時代と Prakas 671 発効後(2025年8月25日)の規定の主な相違点をまとめたものです。
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項目
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Prakas 116(旧規定)
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Prakas 671(新規定、発効後)
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許認可料(ライセンス料)
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平均月次の関税・税金未納額の 1 %(最低額の規定なし
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最低 2,000,000 KHR または 平均月次未納額の 1 % のいずれか高額な方
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保証金(セキュリティデポジット)
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年間の関税・税金未納額の 5 %(税関が調整可能)
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現金固定額 300,000,000 KHR
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保管期間
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最大 2 年間(さらに 12 ヶ月の延長可)
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最大 180 日(商品状態と税関評価に応じ、さらに最大 180 日延長可)
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これらの改正から、Prakas 671 は、次のような方向性を示していると考えられます:
- 財務的負担の明確化:固定保証金制度を導入することで、事業者にとって予見可能性を高めています。
- 倉庫の回転率強化:保管期間を大幅に短縮することで、在庫の長期滞留を抑制し、物流の迅速化を目指す姿勢が窺えます。
- 管理・監督強化:制度をより厳格にして、不正・逸脱リスクを抑制しようとする動きと見ることができます。
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