2024年1月3日、税務総局(General Department of Taxation: GDT)は、二重課税協定(Double Tax Agreement: DTA)に基づく減税措置の適用に関するInstruction 180を発表しました。Instruction 180では、DTAに基づき付与された税額軽減は、GDTへの軽減を求める暦年と同じ暦年に行われた場合に限り、適用されるというものになります。
カンボジアの観点からは、DTAによる税軽減は通常、非居住者への利子、管理・技術料、ロイヤルティ、配当金の支払いに対して、標準源泉税率14%から10%への軽減税率という形で適用されます(カンボジアが結ぶ全てのDTAに対してこの軽減税率が適用されるわけではありませんので、ご注意下さい)。
Instruction 180は、2024年1月3日の調印日から効果を持ちます。2024年1月4日に税務総局(GDT)と行われた審議組織(Tax Working Group)の協議において、Instruction 180を2023年の課税年度にも適用するよう要望が出されました。
(例)
カンボジア法人A社は、シンガポールの親会社との間で、2024 年1月から毎月利子が支払われる有利子借入を行っている。
A社は、カンボジア-シンガポール間のDTA に基づき、WHT税率を標準の14%から10%に軽減することをGDTに申請し、承認を得ました。
これより、DTAに基づくWHTの軽減税率は2024年1月1日から実施可能となります。
正式な承認を得ることができれば、納税者は同年度の月次確定申告を修正し、過払いWHT税額を控除することができます。
また、承認を得るにも予想以上の時間を要するとみておりますので、DTA申請書をできるだけ早くGDTに提出することを推奨いたします。
GDTによるDTA救済の承認は1年間のみとなっていますので、1年以上の期間がある以下の場合には、毎年GDTの承認を更新する必要があります。
-ローン契約
-マネジメント契約
-ロイヤリティ契約
カンボジアは11カ国とDTAを締結しています;
シンガポール、中国、ブルネイ、タイ、ベトナム、インドネシア、香港、マレーシア、韓国、中華人民共和国マカオ特別行政区、トルコ
DTAのうち、トルコを除く10カ国とはすでに発行があります
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関連当事者
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有効日
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カンボジア
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シンガポール
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2018年1月1日
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タイ
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2018年1月1日
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ブルネイ
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2019年1月1日
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中国
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2019年1月1日
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ベトナム
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2019年1月1日
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香港
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2020年1月1日
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インドネシア
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2021年1月1日
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マレーシア
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2021年1月1日
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韓国
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2022年1月1日
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中華人民共和国マカオ特別行政区
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2024年1月1日
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トルコ
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未定
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カンボジアとフランス、日本、アラブ首長国連邦(UAE)、その他のASEAN諸国との間でも、新たなDTA締結に向けて活発な話し合いが続けられています。