航空輸送事業者に対する新税務規定
  
Topic : Tax
Country : Cambodia

カンボジア経済財政省(MEF)は、2025年8月12日付で「Prakas No. 648 MEF.PrK.GDT」を公布しました。本Prakasは、旅客および貨物の航空輸送を行う企業に対し、**所得税、特別税、および付加価値税**に関する包括的な規定を定めています。

本規定は、2025年3月に発行された「Prakas No. 198」を拡充するものであり、国内外の航空事業者に対して、より明確で一貫性のある税務ルールを提供することを目的としています。

1. 適用範囲

  1. 居住航空会社:カンボジアで設立・管理されている、または主たる事業拠点を有する航空会社。
  2. 非居住航空会社:カンボジアへの乗入・出発便を運航する外国航空会社。
  3. 恒久的施設(PE):外国航空会社の支店・事務所・代理人等は、カンボジア源泉所得に関して居住企業として扱われます。

2. 所得税(Tax on Income)

  1. 居住航空会社:世界所得に対し20%の法人税を適用。
  2. 非居住航空会社:カンボジア源泉所得のみが課税対象。課税所得は総収入の15%をみなし利益として計算し、20%課税(実効税率3%)。

例)

総収入 1,000,000 USD → 課税対象利益 150,000 USD → 法人税 30,000 USD(=3%)

3. 特別税(Specific Tax on Passenger Transport)

航空区分

エコノミー

ビジネス

ファースト

国内線

KHR 10,000
(約2.5 USD)

KHR 16,000
(約4.0 USD)

KHR 16,000

(約4.0 USD)

国際線(カンボジア出発)

KHR 40,000

(約10.0 USD)

KHR 60,000

(約15.0 USD)

KHR 80,000

(約20.0 USD)

※旅客1名あたり・1フライトごとに課され、毎月納付義務があります。

4. 付加価値税(VAT)の取扱い

  1. 国内線:10%のVATが課税。
  2. 国際線:0%VAT(航空券、航行・駐機・給油・機内販売等を含む)。
  3. 航空会社は、請求書にVATを他の空港関連料金(民間航空局手数料、保安料、旅客サービス料など)と区別して明示する必要があります。

5. 申告および遵守

  1. 居住航空会社:月次および年次の税務申告が必要。
  2. 非居住PE:月次申告が必要(年次申告は求められるが、年次納税義務はなし)。
  3. PEは、外国本社に代わり源泉徴収・納付義務を負います。

6. 二重課税防止協定(DTA)との関係

  1. DTA締結国の航空会社は、本国居住国における独占課税権を享受できる場合があります。
  2. Prakas No. 648では、居住証明書などDTA適用要件の厳格な遵守を求めています。

カンボジアは現在、13か国とDTAを締結(うち11か国が発効済み)しており、主な相手国は以下の通りです。

シンガポール、中国、ブルネイ、タイ、ベトナム、インドネシア、香港、マレーシア、韓国、マカオ、トルコ(ラオス・フィリピンは未発効)。

7. 航空会社への実務的影響

  1. 居住航空会社:VATおよび特別税を適正に管理できる請求・会計システムの整備が必要。
  2. 非居住航空会社:PEの発生リスク(代理店・発券オフィス等)を評価し、適切な申告義務を確認すべき。
  3. 両者共通:DTAの活用による二重課税回避や、契約・報告体制の整合性確保が推奨されます。

以上、今週もお読み頂きありがとうございました!!

Creater : 松木 祐里香