ミャンマーでの輸出入事情
  
Topic : Basic Information
Country : Myanmar

5か国と国境を接し、空港も海港もある程度発達しているミャンマーでは、英国植民地の時代から貿易が発達していました。

しかし、今日に至るまで、ミャンマー国内の輸出入という行為は、誰もが気軽に行うことができるようなものではなく、いくつもの制限が存在しています。

まず、輸出入は、その名も輸出入者ライセンスImporter-Exporter Licenseという登録証を取得しない限り、原則実行することはできません。

更に、主に外貨規制の観点から、輸出入にはそのたびごとに許可の取得が必要となっており、輸出の場合はその対価が入金しなければ次の輸入・輸出ができない、輸入は国にとって重要と判断された物資しか輸入できない、などといった制限が加えられています。

また、日本であれば輸出入の手続きを引き受ける乙仲と言った業者が存在し、手続きを代行してもらいながら自社の名前で輸出入を実行することができますが、ミャンマーではライセンス登録のない事業体が輸出者・輸入者となることは許されず、上記輸出入業者として登録された企業のみが書類上の輸出者・輸入者となります。

これにより、他国であれば業者に依頼して自社の名前で直接実行するような輸出入の行為が、ミャンマーでは一旦輸出入業者に物資を販売し、そこから転売してもらう形で実行することになり、輸出入業者が一旦物を買い上げて販売するエージェント業者の建付けになってしまいます。

契約書上は自社と顧客の間で物の引き渡しが行われることになっていても、輸出入の際には書面上どちらかの名前が読み取れない形になることがよくあり、これがオーナーシップの登録や譲渡の際に問題になることがあります。

また、間接税である商業税(一般に5%)のほかに、国内での販売を見越して予め所得税を徴収するAdvance Income Taxが2%徴収されるなど、輸入であれば何でも転売を目的とした商品の仕入れの建付けを取らされ、そうでなければ輸入のための海外への支払いを必要としない、ドローバック(Drawback)の制度を利用するよう求められる等、いびつな規則で運用されています。

他国にない規則や税制に、注意が必要と言えるでしょう。

Creater : Takamasa Kondo