2023年12月5日の通達(FE-1/2937)で、ミャンマー中央銀行は国内外貨取り扱いライセンス銀行(通称AD Banks)に対して、今年7月頃より採用されていた中間レート、Weighed Average Rate(WAR)の適用を廃止すると発表しました。
文脈としては、公式な中央銀行レートがUSD 1=MMK 2,100と固定され、一方で両替商などで換金を行う際のレートが11月初めでUSD 1=MMK 3,300程と乖離している状況から、外貨からMMKに換金する際に公定レートが適用されるようでは損をするとして、兌換を渋る動きがあったことに対し、中央銀行が公式な発表で一部為替取引について、中間的なレートWARで兌換することを許したところに端を発します。
WARは、各為替取引の情報を中央銀行が収集して平均値を算出し、公式サイト上で公表することで運用されていましたが、今回の通達以降、公式ウェブサイトからもこの情報は見られなくなりました。
WARが使用できない代わりに、中央銀行は各取引を、売り手と買い手との間で合意されたレートで実行されればよいと、ある種自由化する形の指示を出しています。しかし、一方では従前に要求していた為替取引の逐一の中央銀行通知と承認の取得について、これを不要とするという表現は見られず、企業間で合意されたレートで無制限に兌換が可能なのか、兌換後国内送金は可能になるのか、といった点では、否定的な予想が立っています。
なお、輸出の対価50%分などなど、特定の取引が強制兌換の対象となり、その場合には中央銀行の公式レートUSD 1=MMK 2,100が適用になるという点、変更はありません。
国内では、内戦が激化して燃料がなくなり、外貨の欠乏が叫ばれている状況下、今後も急なルール変更に注意が必要です。