クーデター以降、一時的に現金の引き出しが全国的に難しくなったミャンマーですが、その後少しずつ正常化し、規制が厳格化していっている外貨での取引を除いて、一般の銀行業務は正常化されつつあります。
主に個人の口座で利用されるATMについても、設置されているすべてのATMが再稼働しているわけではありませんが、一部の戦闘地域を除けば、半数を超えるATM機器が稼働し、現金引き出し等の操作が可能になっています。
ミャンマー地場銀行の一つ、KBZ銀行のATMで、キャッシュカード/デビットカードに当たるMPUカードを用いて、現金の引き出しが可能な金額を記載すれば、現状は以下の通りとなっています。
1日に引き出し可能な現金:MMK1,000,000
1週間に引き出し可能な現金:MMK2,000,000
(カードレスのオンラインバンキング認証によるキャッシング可能額は1週間にMMK300,000にとどまっています。)
数か月前まで1週間にMMK500,000までしか引き出せなかった状況を思えば、かなり充実してきていると言えるでしょう。
一方、法人口座の場合、小切手の振り出しにより引き出しが可能な現金の上限は、1週間当たりMMK100,000,000と、十分な金額になっています。
また、法人口座では、海外から送金された外貨がMMKに強制兌換されるケースがありました(MIC企業、SEZ企業などを除く)。
この時、法人側が銀行の問い合わせに対応しないと、外貨預金からお金が引かれ、かつMMK口座に入金しない状態、いわゆる「クローン口座」への入金が行われていましたが、現在この「クローン口座」が公式に銀行によって運営されるようになり、一部銀行のオンラインバンキングでも表示されるようになりました。
2023年1月以降、現状は外資出資比率35%以上の外国法人であれば、強制兌換はされない状況が続いていますが、国内に外貨が枯渇し、貿易赤字も継続している中で、今後もいつ強制兌換が外国企業に拡大されるか、予断を許さない状況が続いています。