インドネシアのプラボウォ政権下で初となる2026年度の最低賃金改定について、本日12月24日の発表期限に合わせ、各自治体から最新の決定値および勧告値が出揃いました。新算定式の導入により、全国的に高い上昇率となっています。
1. 2026年改定の背景:新算定係数「アルファ」の引き上げ
今回の改定では、最低賃金算定式に用いられる指数(アルファ値)が、従来の「0.1〜0.3」から「0.5〜0.9」へと大幅に引き上げられました。これにより、インフレ率と経済成長率がより強く賃金に反映される結果となり、主要州の多くで前年比6%を超える上昇を記録しています。
2. 各州・主要都市の最新確定値および勧告値
現時点で公表されている主要な地域別の数値です。
■ 主要州の州最低賃金(UMP)
州全体に適用される最低ラインです。本日までに多くの州で知事令が発行され、確定しています。
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ジャカルタ首都特別州 (DKI Jakarta):5,729,876 IDR (前年比 6.17%増) 【確定】
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東ジャワ州 (Jawa Timur):2,446,880 IDR (前年比 6.11%増) 【確定】
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中部スラウェシ州 (Sulawesi Tengah):3,179,565 IDR (前年比 9.08%増) 【確定】
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バリ州 (Bali):3,207,459 IDR (前年比 7.04%増) 【確定】
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北スマトラ州 (Sumatera Utara):3,228,971 IDR (前年比 7.90%増) 【確定】
■ 西ジャワ州および隣接工業地帯(UMK)の動向
西ジャワ州では、州全体の基準(UMP)よりも、各市・県別の最低賃金(UMK)が実質的な法定賃金として優先されます。以下の数値は各首長から州知事へ提出された最新の勧告値です。
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ブカシ市 (Kota Bekasi):5,992,931 IDR(国内最高額)
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ブカシ県 (Kab. Bekasi):5,938,885 IDR
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カラワン県 (Kab. Karawang):5,886,852 IDR
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ボゴール市 (Kota Bogor):5,437,203 IDR
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タンゲラン市 (Kota Tangerang):約5,030,000 IDR(バンテン州に属する)
特筆すべきは、ブカシ市がジャカルタを上回り、月額600万ルピアに迫る国内最高額となる見通しである点です。日系製造業が集中するブカシ・カラワンエリアでは、人件費が経営を圧迫する大きな要因となることが懸念されます。
3. 今後のスケジュールと実務上の留意点
本日発表された数値の多くは、明日までに各州知事による署名を経て正式に確定(州知事令の公布)されます。
4. 総括
2026年度の最低賃金は、労働者の購買力維持を優先するプラボウォ政権の意向が強く反映されました。企業にとっては生産性の向上やオペレーションの効率化が急務となります。
(注記) 本情報は2025年12月24日時点の速報に基づいています。正式な適用は2026年1月1日からとなります。最終的な州知事令の内容について、引き続き注視が必要です。