2025年版:ミャンマー会社法①
  
Topic : Basic Information
Country : Myanmar

1. 概要

現行の会社関連制度は、Myanmar Companies Law 2017(MCL)および Companies Regulations 2018 に基づいて運用されています。登記手続きは電子登記システムの MyCO に一本化されています。

 

2. 法体系の現状

適用法は MCL 2017(2018年8月1日施行)と Companies Regulations 2018 です。登記、年次申告、定款変更などは MyCO を通じて電子的に行います。旧来の1914年法および1940年規則は、実務上 MCL と同規則によって置き換えられています。

 

3. 株主(メンバー)構成

会社はすべて最小1名の株主から設立できます。プライベート・カンパニーの株主数は上限50名とされています(従業員等の取扱いには特則があります)。公開会社については、従来の「株主7名以上」という要件は現行法に明文規定がありません。株主の権利としては、配当や残余財産の取得といった自益権に加え、議案の提案、招集請求、投票方法の請求などの共益権が明文化されています。

 

4. 取締役体制と居住要件

すべての会社は、常時ミャンマー居住の取締役を少なくとも1名置く必要があります。公開会社は取締役を3名以上置き、そのうち少なくとも1名はミャンマー国籍を有し、居住要件を満たす必要があります。

 

5. 株主総会の類型と頻度

定時株主総会(AGM)は、初回を設立(登記)後18か月以内に開催し、その後は毎暦年に1回、かつ前回開催から15か月以内に開催します。Small Company は原則として AGM が免除されます。公開会社等は、設立後28日以上6か月以内に法定株主総会(Statutory Meeting)を開催します。臨時株主総会(Special/Extraordinary GM)は必要に応じて開催でき、議決権の10%以上または有権者100名からの請求があった場合、取締役会は21日以内に招集手配を行い、3か月以内に開催しなければなりません。

 

6. 召集・運営(通知、議長、定足数)

招集通知の期限は、プライベート・カンパニーが21日前、公開会社が28日前です。全員の同意があれば短縮することもできますが、特別決議の明示や委任状の締切等の記載事項には留意します。議長は原則として取締役が選任し、不在の場合は出席株主が選任します。定足数は、通常は出席者2名以上とし、定款で別段の定めを置くことも可能です。

 

7. 決議方法と要件

投票は原則として挙手で行いますが、議長、株主5名以上、または10%以上の株主の請求があればポール投票(poll)に切り替えます。普通決議は単純過半数で可決し、特別決議は議決権の75%以上を要します。特別決議の対象となる議案は、招集通知で「特別決議」である旨を明示する必要があり、不備があると無効や手続瑕疵のリスクが生じます。

 

8. 委任状(プロキシ)

代理人は株主でなくても務めることができます。委任状は開催の48時間前までに受領することが有効要件ですが、定款の定めがある場合はその規定が優先されます。法人株主は Corporate Representative を通じて代表者を選任することができます。

 

 

②に続く

Creater : 晃 渡辺