就労ビザ手続きの厳格化およびVNeID導入に伴う会社設立への影響について
  
Topic : Legal
Country : Vietnam

こんにちは。
ベトナム、ハノイ拠点の小瀬です。

現在、ベトナムにおいて外国人駐在員の赴任手続きに関する当局の運用が厳格化しております。また、電子身分証明(VNeID)の導入に伴い、法人設立直後の実務にも大きな影響が生じております。本号では、これら最新の当局要請と実務上の対応策について解説いたします。

  1. ビザ・就労許可証(WP)・一時滞在許可証(TRC)の取得実務の現状

従来、商用(DN)ビザで入国後にベトナム国内でWPを取得し、TRCへ切り替える運用が一般的でした。しかし、直近の取り締まり強化により、この手続きが認められなくなっています。

  • 原則的な対応策: 日本滞在中にWPを取得後、LDビザ(就労ビザ)を取得して入国する。
  • 暫定的な対応策: お急ぎの場合、DNビザで先行して渡航し、現地でLDビザとWPを新規取得した上でTRCを申請する。 (※申請前のパスポート残存期間にご注意ください。WPTRCは原則2年ですが、残存期間がそれに満たない場合は短い期間で発行されてしまいます。)
  1. 新たなボトルネック:VNeIDVATインボイス発行

現在、法人のVATインボイス発行には「会社の電子身分証明(e-ID)」の政府アカウントへの登録が必要であり、これには法定代表者個人の「VNeID(マイナンバーアプリ)」アカウントが必須となります。外国人がVNeIDを登録するにはTRCが必要となるため、以下のプロセスを経る必要があります。

  1. 企業登録証明書(ERC)の取得(会社設立)
  2. WP等の取得
  3. 就労ビザおよびTRCの取得
  4. 【ここで初めて可能に】 VNeID(個人の電子身分証明)の登録
  5. 会社のe-ID登録およびインボイス発行・利用開始
  1. 実務上のリスクと対応策

上記のフローにより、会社設立後から法定代表者のVNeIDが開設されるまで(約34ヶ月)、VATインボイスが発行できません。これにより正式な請求行為ができず、売上計上や代金回収に遅れが生じるリスクがあります。

  • 対策A(スケジュールの調整): 代表者の手続が完了するまで、売上が発生しないよう事業計画をコントロールする。
  • 対策B(ローカルスタッフの一時登用): すでにVNeIDを保有するベトナム人を一時的に法定代表者とし、インボイス発行手続きを先行させる。日本人代表者のeID登録完了後に代表者を変更する(暫定的な対応策として)。

ベトナムの法令や当局の運用は変化が激しいため、最新動向を注視し、専門家と連携した柔軟な対応が不可欠です。

本件に関する詳細なご相談は、お気軽にお問い合わせください。

本内容は発行時点の一般的な実務傾向に基づくものであり、将来の確実性や結果を保証するものではありません。実際のお手続きの際は個別にお問い合わせください。

Creater : 悠也 ⼩瀬