要約
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2011年当時と比較して、現在のミャンマーでは源泉徴収制度の内容・税率が大きく変更されています。
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居住者への支払では源泉徴収税率が0%または軽減されるケースが多くなっています。
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非居住者への支払(利子・ロイヤルティなど)は原則15%が適用されます。
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支払通貨や納付方法が厳格化され、非居住者(=ミャンマー法人以外)への源泉税は、外貨決済の場合のみ USD で納付が必要、
MMK 建ての国内取引なら 外貨納付は不要、他通貨は 最終的に USD に換算して納付します。
ミャンマーの源泉徴収制度の概要
ミャンマーでは、特定の支払に対して所得税の一部を源泉徴収する制度が設けられています。
これは、支払者(代金や報酬を支払う側)が受取人に代わって税金を徴収し、税務当局(Internal Revenue Department:IRD)へ納付する仕組みです。
源泉徴収の対象となるのは、利子・ロイヤルティ・配当・サービス料などの支払いであり、契約内容や支払先が「居住者」か「非居住者」であるかによって税率が異なります。
また、支払いを受けた側は、最終的にその事業年度の所得税申告を行う際、源泉徴収された税額を控除(Tax Credit として相殺)することが可能です。
そのためには、支払者から発行される以下の書類を確保しておく必要があります。
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源泉徴収証明書(Withholding Tax Certificate)
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支払証憑(Invoice・Receipt 等)
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源泉税の納付控え(Tax Payment Receipt / e-Receipt)
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契約書(Contract) ー 必要に応じて提出を求められる場合があります。
これらの書類を揃えておくことで、税務申告時に適切に控除を受けることができます。
最新の源泉徴収税率(2024〜2025年時点)
・源泉税率(2024–2025年 最新版)
| 支払いの種類 |
居住者 |
非居住者 |
| 利息の支払い |
0% |
15% |
| ライセンス料、商標および著作権使用料のロイヤルティ |
10% |
15% |
附帯業務費、購入代金、サービス料の支払い
(技術料、監査、コンサル、建設、工事、リース等) |
2% |
2.5% |
| 預託証書に基づいて交付される金銭、託送・委託等に伴うサービス料の支払い |
なし |
2.5% |
| 配当(Dividend) |
0% |
0% |
・補足(重要)
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物品購入(Purchase of Goods)も源泉徴収の対象となります(2% / 2.5%)。
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医師・弁護士・会計士・フリーランスなどの専門サービスも 2% / 2.5% となります。
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支払額が 10 万 MMK 未満の場合は免税となります(2023年8月通達)。
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非居住者への利子およびロイヤルティは 15% と高税率となります。
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配当は 0%(免税)となります。
支払・納付の義務と通貨の取り扱い
源泉徴収を行った支払者は、徴収日から15日以内にIRDへ税金を納付しなければなりません。
また、2023年1月にミャンマー中央銀行(Central Bank of Myanmar)より発出された指令(Directive No. 2/2023)により、非居住者への支払いに係る源泉徴収税は外貨で納付することが原則として義務付けられました。
ただし、ここでいう「非居住者」とは個人の居住判定(183日基準等)ではなく、“ミャンマー法人でない相手方” を指す点に注意が必要です。
さらに、非居住者に対する支払いであっても、国内取引として MMK 建てで支払われる場合には、外貨での納税が必ずしも必要となるわけではありません。
外貨納付義務が生じるのは、外貨建て契約や海外送金など、実際に外貨決済が行われるケースに限定されます。
また、実務上は税務当局が保有している外貨口座が USD のみであるため、MMK 以外の通貨による取引の場合には、最終的にすべて USD 換算で納税する必要があります。