2025年版:ミャンマー労務④
  
Topic : Basic Information
Country : Myanmar

要約

  • ミャンマーに長期赴任する場合、Business eVisa → Stay Permit+MJEVの順で手続を進めるのが一般的です。

  • 90日超の連続滞在者はFRC(外国人登録証)の申請が求められます。

  • 税務上の居住者判定は「課税年度内183日」が基本で、居住者は世界所得、非居住者はミャンマー源泉所得が課税対象になります。

  • 個人所得税は0〜25%の累進で、旧ルールの「非居住者35%一律」はすでに使いません。

  • 給与年収がMMK 4.8百万以下は非課税扱いの運用があり、計算時は確認が必要です。

  • 社会保険の拠出は従業員2%/事業主3%(上限賃金あり)を前提にします。

 


1. 駐在時の在留・ビザの基本

ミャンマーに業務目的で入国する際は、まずオンライン申請によるBusiness eVisaを取得するのが一般的です。
長期勤務や複数回の出入国を予定している場合は、入国後にStay Permit(在留許可)およびMultiple-Journey Entry Visa(MJEV:数次入出国可)の手続きを行います。
これらの申請には、会社の推薦文書や所管当局の指示に基づく書類の準備が求められます。
また、連続90日を超えて滞在する場合はFRC(Foreigner Registration Certificate:外国人登録証)の申請が義務付けられています。
手続き内容や提出書類は改定されることがあるため、申請前に最新情報を確認することが重要です。

 

2. 在留申請の流れと必要書類

在留関連の手続きでは、申請者の履歴書や旅券のほか、会社登記書類(取締役名簿、登記申請書、事業概要)や、本社・所管省庁の推薦書などを準備します。
支店形態の場合は、あわせて支店登録証の提出が求められます。

これらの書類を整えたうえで、所管の移民当局に対しStay PermitおよびMJEVの申請を行います。
書類の内容は案件や運用状況によって追加・変更される場合があるため、申請時には現地当局や在外公館の最新の指示に従って進めることが重要です。

 

3. 居住者区分・課税範囲と二重課税の考え方

個人の税務上の居住区分は、同一課税年度内の滞在日数が183日以上か否かで判断されます。
183日以上の場合は居住者、それ未満の場合は非居住者として扱われます。

居住者は「全」世界所得が課税対象となり、非居住者についてはミャンマー国内源泉の所得のみが課税対象となります。
ここで、ミャンマー国内源泉の所得とは、給与所得を受け取った場所ではなく、その給与所得が対象とする勤務の期間のうち、何割がミャンマーに滞在していた期間か、という部分を基準にする点、注意が必要です。

また、日本とミャンマーの間には、所謂租税条約(二重課税回避のための二国間条約、DTA)が締結されていません。したがって、個人所得税に関しても、非居住者となっている国で手続きをすれば免税・減税になるという対応は取られず、両国にまたがって勤務する場合、ほとんどのケースで二重課税となってしまう点、注意が必要です。

ミャンマーでの納税が必要となるミャンマー勤務期間と、日本で勤務して日本で納税する期間とを、明確に分けて対応することで、どちらか一方のみでの納税(=二重課税の回避)が実現します。

 

4. ミャンマーの個人所得税と社会保険

現行の個人所得税は0〜25%の累進課税制度が採用されています。
旧制度で適用されていた「非居住者外国人は一律35%」という取り扱いは廃止され、現在は非居住者であっても累進税率の対象となります。
ただし、非居住者外国人には原則として各種控除の適用が認められていません。

また、年間の給与所得がMMK 4.8百万以下の場合は非課税とされる運用があるため、年収水準に応じた確認が求められます。

社会保険については、従業員負担2%・事業主負担3%を基本として拠出し、賃金の計算には上限額が設定されています。
なお、源泉徴収や拠出の運用は最新の告示や通達により変更されることがあるため、適用前に現地実務の最新情報を確認することが重要です。

 

Creater : 晃 渡辺