要約
-
監査義務は一律ではなく、小規模会社には免除条項があります。該当しない会社は設立記念日基準でARと監査済み財務諸表をMyCOに提出します。
-
会計基準はPIEに対して2027〜2028会計年度からIFRS本体の適用が義務化される見通しです。その他の会社もIFRS/IFRS for SMEsへの段階移行が想定されます。
-
監査基準はISA/ISRE/ISAE/ISRSおよびISQMの枠組みに沿う運用が進んでいます。内部統制と監査証拠の整備が重要です。
-
監査人はMAC所管で、CPA試験(Part I/II)と実務要件を満たし、PAPP等として登録する必要があります。監査契約時は有効登録と品質管理体制をご確認ください。
-
会計年度は「4月1日〜翌3月31日」への移行が広がっていますが、所管当局の通達により差が残る場合があります。
監査が必要となる会社の範囲
ミャンマー会社法(MCL)では、小規模会社(スモールカンパニー)に対して提出義務や監査義務の緩和措置が設けられております。具体的には、従業員数が「30人以下」および年間売上高が「50,000,000MMK未満」であれば、監査済み財務諸表の作成・提出が免除される場合があります。
一方で、小規模会社に該当しない会社は、設立記念日を基準とした年次サイクルで年次報告(AR)をMyCO(DICAのオンライン登記システム)に提出することが求められます。なお、公開会社(Public Company)に該当する場合は、ARと同時にForm G-5を通じて監査済み財務諸表の提出が義務付けられています。
一方、非公開会社(Private Company)は通常、DICAへの監査済み財務諸表提出義務はありませんが、年次監査の実施および年次株主総会(AGM)での提示が必要です。
実務上は、まず自社が小規模会社の要件(従業員数および年間売上高)に該当するかを確認し、提出・監査・AGMスケジュールを「設立記念日ベース」で管理することが重要です。
会計基準(Accounting Standards)
会計基準は、公益性の高い事業体(Public Interest Entities:PIE)から国際基準へ本格移行が進んでいます。最新方針では、PIEに対してIFRS本体の適用が2027〜2028会計年度から義務化される予定となりました。過去の通知は整理・撤回されており、IFRSへの一本化の方向性がより明確になっています。PIEに該当しない一般企業につきましても、IFRSまたはIFRS for SMEsへの段階的な移行が想定されますので、既存のMFRS等からの切替え計画を早めに立案しておくことをおすすめします。
監査基準(Auditing Standards)
監査基準は従来ミャンマー監査基準(MSA、2009年ISAに整合)を基礎としてきましたが、近年は国際監査・保証基準(ISA/ISRE/ISAE/ISRS)および品質マネジメント基準(ISQM)を採用する方向で運用が進んでいます。監査法人・公認会計士側では国際基準ベースの審査・文書化が求められるため、被監査会社としても内部統制や監査証拠の整備水準を国際基準に合わせておくことが、監査の効率化と指摘リスクの低減に有効です。
監査人の資格・登録
監督官庁はミャンマー会計評議会(MAC)であり、監査業務に従事するためには、所定の試験(通常はPart I/Part II)と一定期間の実務経験を経たうえで、CPA資格および監査実務者としての登録(PAPP等)が必要です。職能団体であるMICPAへの加入も前提とされています。監査契約の締結にあたっては、担当監査人が有効な登録を保持しているか、組織として品質管理体制(ISQM)を整備しているかを事前に確認できると安心です。
会計年度の取り扱い
会計年度は、政府部門・金融セクターの移行を起点に、一般企業でも「4月1日〜翌年3月31日」への統一が広がっています。もっとも、監督官庁や業種別規制により適用の通達に差が残る場合がありますので、金融・公益事業など所管当局のガイダンスを必ずご確認ください。会計年度の変更を予定する場合は、登記・税務・監査スケジュールへの影響を見越して、稼働カレンダーを前広に調整することが肝要です。