第3弾として「労働者を雇用するうえでの留意事項」について書いていきます。
1 雇用契約の終了
2 女性労働者の保護
3 賞与
「1 雇用契約の終了」
ベトナムは社会主義国であるため、労働者を保護する傾向が強いです。
雇用契約の終了には①解除・②懲戒解雇があります。
それぞれどのような場合に上記契約が終了するか見ていきます。
① 解除の場合
・契約期間の満了
・雇用者・労働者の双方による合意
・労働者が定年の年齢に達した場合
・労働者が刑期に服する場合または裁判所の決定により職務復帰ができない場合
・労働者の死亡または裁判所が失踪を宣告した場合
② 懲戒解雇
・窃盗、横領、技術的機密及び企業情報の漏洩により企業に著しい損害を与えた場合
・懲戒処分になった場合において同一内容の違反または常習的な違反者である場合
・正当な理由なく月に5日または年間で20日欠勤した場合
労働法35条では労働者の都合で無期限雇用契約を解除する場合は法律上退職日の45日前、
有期限雇用契約を解除する場合は30日までに雇用者に告知することが規定されています。
しかし、すでに転職先を決めてしまっているケースが多く事後報告になることが多いです。
上記の場合、業務の引継ぎ対応等後々トラブルになることが想定されるため事前に雇用契約書上に
引継ぎの事項を記載しておくと問題を未然に防ぐことができます。
「2 女性労働者の保護」
ベトナムでは多くの女性労働者が働いており、貴重な労働人材です。
その権利は下記に記載の通り労働法によって保護されており、結婚・妊娠・育児を理由に解雇や契約を一方的に終了することができません。
・1日に60分の休憩を減給なしに取得可能:12か月未満の子供を育児中の女性労働者
・出産前後6か月の出産休暇:当該期間中は出産直前の6か月の平均給与をベースに出産手当を受け取れる
・妊娠7か月以上の女性労働者の時間外労働、深夜労働の禁止
「3 賞与」
ベトナムでは以前賞与を給料の1か月以上支払う義務がありました。
現在ではこの義務が撤廃され、労働者または労働組合と合意した場合で
支払いの有無及び金額を決定することになります。
しかし、これまでの名残で給与の1か月分以上の賞与を支払うことが
慣例として残っています。
賞与の支払い時期は通常テト正月前後が多いため、帰省や消費が多くなるという
傾向があります。
また賞与がなければテト後、帰省したまま出社しないケースもみられます。
そのため雇用者にとっては労働者への賞与を軽視すると上記なケースにある可能性がある為
留意する必要があります。
以上になります。